LOST ANGEL
大きく深呼吸する。
「…どういうのが本当の恋なのか確かめたいんだよ」
「本当の恋?」
「だから…その…」
「彼女のことを本気で想っているのか、それとも単に外見や行動が可愛く見えてるだけなのか知りたいってこと?」
「そう!さすが兄貴!」
思わず自分も大声になってしまった。
「そんなことで悩んでるのか、慧斗もまだまだ子供だな」
言い返す言葉はなかった。
「そもそも、その歳で恋はないだろ」
「えっ?」
「『えっ?』じゃねーよ。恋は…せいぜい高校生くらいだろ」
呆れた声で背もたれに寄りかかる兄貴。
「高校生…?」
相手は一応高校生か?
「それが解らないんじゃ、大人として人を好きになる資格はない
な」
なんだかスゴくカチンとくる言葉だった。
自分は女遊びばかりで、まともに恋愛なんかしてないくせに。
……!
「あっ…」
「どした?反論する気か?」
違う…
解った…
「愛だ…」
兄貴が起き上がってタバコの火を消す。
「解ってるじゃん」
「じゃあ、愛ってなんだ?」
「今度はポエマーかよ…。愛について語ろうか?」
兄貴が冗談混じりで返した言葉にオレはコクコクと真剣に頷いた。