家族ノ絆ヲモウ一度
数十分後

たくさんの洗濯物が風に揺れている。

サイズや色の違う6つのジャージにシャツや下着。
色とりどりの洗濯物が物干し竿を占拠していた。
椿はそれを見ると、改めて自分は一人じゃないことを実感する。


「今日、緑涼さん達と畑に行ってたでしょ?」
「うん。」
「お母さんそれ見て、感動しちゃった。」
「どうしてよ。」
「だって、私も死んじゃったし、お父さんも死んじゃったでしょ?だから・・・すごい心配だったの。だけど、こうしてお家でニコニコしてるもん。それがすごく嬉しいの。」


美佐子は、椿の目をじっと見てそう胸のうちを語る。


「さ、中に入ろう。お肌が焼けちゃう。」
「お母さんは気にしなくて良いじゃん!」
「気にする!焼けたくないもん!」

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