家族ノ絆ヲモウ一度

「椿~・・・。」

つかれきった様子の緑涼が椿を呼ぶ。

「おつかれ(笑)」

そういうと緑涼の手のひらには、配布するものとは違う焼き菓子がちょこんと座っていた。

「別で作っといたべや、食え食え(笑)」

椿は眼をきらきらさせながら、その焼き菓子をほおばった。
さくさくした食感と、アーモンドの香りが口に広がっていく・・・。

「おいしい~♪」
「よかったべ(笑)」

「緑涼!俺のは無いべか?」

疲れきった緑涼の背中に、火燐はぎゅっとしがみ付いてきた。

「あるべや(笑)みんな食べられるようにたくさん作ったから・・・離してくれ(疲)」

火燐は素直に緑涼から離れる。すると、緑涼は火燐の口の中にあの焼き菓子を放り込んだ・・・。

「うまいべ(笑)」
「そか、よかった(笑)」

みんなが次々に戻ってくる。そのたびに緑涼はあの焼き菓子を渡していく・・・。
その時、椿は視線を感じる。ショーウィンドウのほうに眼をやると、四つの小さな目が、ショーウィンドウ越しにじっと椿達を見ていた。
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