Cotton Candy【ベリカ限定】
「家(ウチ)、来る?」


唇を離した雅は、低い声で囁くように訊いた。


あたしは、小さく頷いた。


雅は優しい笑みを浮かべると、あたしの手を引いてゆっくりと歩き出した。


沈黙が続く中、あたしの下駄の音だけが響いている。


雨に濡れて肌に張り付いた浴衣が冷たいけど、不思議と気持ち悪くは無かった。


きっと、さっきのキスのせい。


唇から熱を帯びていったあたしの体には、濡れた浴衣が心地好かった。


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