天然王子とツッコミ姫☆


それは、まるで壊れ物を扱うかのように、私を優しく…遠慮がちに抱きしめてくる。

鼻孔をくすぐるのは、シトラス系の――私が好きな匂いで。

「……ぅ…ふぇ………?」

怖くてぎゅっ…とつぶっていた目を恐る恐る開くと……


「美姫」


柔らかい声が、私の名前を呼んだ。


その声が、西山だと理解するのに数秒。

「ふぇ…西山ぁ……っ!!」

物凄い安心感に包まれた中で、


「ごめん

―――……驚かせて」


―――その言葉から、幽霊=西山だったと理解するのに……さらに数秒。

………ちょっと待って。

それってさ、それって……


「――お前が、全ての元凶か?」


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