星の奇跡
泳いだ後という事もあり、行きの様なテンションの高さもなく、渋滞した一本道をひたすら走り続けた。

大阪に戻ってくると急に空気が悪くなったような気がして、さらにすでに11時を回った空にはぼやけた雲しか見えず、目を凝らしてみても数えるくらいの星しか見えなかった。

あつしは「いつか空のきれいな町に住んで、そこで子供を育てたいな」と言うと、康平も「そうやな〜。でももう行く事もないんかな。」とあの場所へは2度と行けないような事を口にしました。

大阪に戻り現実が見えてくると弱気な気持ちになったのか、あつしは康平を励ます意味でも、また本当に行きたい想いを感じ、素直に「また絶対行こうや!」と力強く言いました。

京都市内を抜け、枚方市内まで10キロを切るといよいよ地元に戻ってきた感じになり、楽しかった時間もゆっくりと流れていた空間も昔のように思え、2人は黙ったまま康平の家に到着しました。

それからあつしは自分の荷物だけを取り、自転車にまたがり最後に何故か2人は握手を交わし、楽しかったな!と言い家へと向かい、康平はそのまま親父の病院へと向かいました。

それから1週間後、以前の生活に違和感も感じなくなり、懐かしい海の風と香りを忘れかけていた頃康平から手紙が届いたのでした。
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