星の奇跡

友達からわざわざ手紙が届くなんて事は今までなかったため、不信に思いながら手紙を開けると、そこには信じられない事が書かれていた。

拝啓
 この前は鳥取楽しかったな。 ずっと前からいつかキャンプに行こうと言ってたのが実現して本当に嬉しかったし、楽しかったわ。
 あの日の夜に2人で見た星空は最高で、あの瞬間は忘れられないものやったし、一番の思い出になったわ。

 あつしは本当はみんなで行きたかったのやろうけど、今回は俺はどうしても2人で行きたかったから悪かったな。

 この手紙が届く頃には、俺はもう居ません。

 最後にあつしと旅行に行きたくてそれが実現できて嬉しかった。

突然やけど、俺は自ら命を絶つことにした。

理由は、誰にも言わないことにしたし、遺書も残さん。

悔いはないし、許してほしいと思う。

鳥取からの帰り道、「あそこに住みたいよな」と言ったのは嘘でもないし、俺の家族とあつしの家族でキャンプに行ったり、未来の子供と一緒にあの星空を眺めたかった。

最後の旅行をあつしとできた事を本当に嬉しく思うし、最後の瞬間に浮かぶのはあの星空やと思う。

ありがとう。

あつしは、俺の分まで幸せになってくれ。

精一杯生きてくれ。

世の中になんて負けるな。

自分に負けるな。

精一杯生きてくれ。 
                                                  康平
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