星の奇跡
最後に別れるときに、早苗は「実は康平の赤ちゃんができているの」と言い、初めてあつしの目を見た。

あつしは度重なる出来事に何がなにか分からなくなっていたが、「どうするの？」と聞くと、

「産む」と答えてきました。

それ以上、聞くことも、問いただすこともせず、「早苗が決心したならそうしたええ。康平も喜ぶよ」と言い、最後に元気な赤ちゃんを産むんやぞ。と励ましその場を去った。

帰る途中、色んな事が頭をめぐり、康平と早苗が付き合っていたことも信じれなかったし、早苗が妊娠していたことも、それが原因で死を選んでしまったことも、すべてが嘘に思えた。

人を信じられない気持ちになった。

人を憎む気持ちにもなった。

人のこころの弱さを痛感した。

誰を責めていいかも分からない、このままじっと我慢するしかない状況でじっと涙をこらえた。

しかし、葬儀の時に流した涙とは、また別の涙が溢れてきて止まらなかった。

ただどんなに考えても、康平が死んでしまった事実は何も変わらなかった。

康平はキャンプで俺への罪の償いをし、もしかしたら最後に打ち明けようと思っていたのかもしれない。

それがどうしても言えなくて、最後まで誰にも言えなくて独り悩み続けていたのだろう。

誰にも言えない辛さ。

最後まで辛かったろうに、ごめんな　康平。
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