星の奇跡
始めにメザシを焼きながら隅の方でお肉を焼き、周りが焦げてカチカチになったご飯をほおばりながら2人は最高の瞬間を味わった。
お肉は安物で多少堅かったが、いがいにもメザシが美味しく、やはり外で食べる食事のうまさに改めて感動し、すでに周りの人達はテントの中で話をしたり、近くの海岸で花火をしに行っている中、2人は長時間の運転の疲れも忘れ、ひたすら食べまくっていた。

食事を終えて洗い物をあつしが、食材の後片付けを康平が担当し、全てが終わった頃には夜の9時をまわっていました。

周りには海しかなく、何もやることがない所で時間の経つのがとても遅く感じ、大阪の都会の人混み、せわしない時間がうっとおしく感じ、このまましばらく住みたい感覚に陥っていました。

2人はテントのすぐ後ろにある海を見つめ、一段下がった所にある海沿いのコンクリートへ降り、そこへ並んで横になりました。

晩御飯の準備で気付かなかったが、空にはプラネタリウムなみの星で埋め尽くされ、都会では決して見ることのできない一面の星空に2人とも喚起の声をあげました。

あつしは今まで見た中で自然に対しこんなに感動を覚えたことはなく、じっと見つめていると何故か涙が出そうになる感覚になりました。

2人ともずっと黙ったままでしたが、お互い同じ感覚を持った2人は、同じ気持ちで空を見上げていたに違いなく、無心な気持ちでただ空を見つめていました。
これが2人で見る最後の夜でした。
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