いつか、眠りにつく日
 その言葉に涼太はキョロキョロとあたりを見回すと、
「あれ、いない。麻紀子センセどこだろ?」
と不思議そうな顔をした。

「じゃあ教室かな?見にいこっか」

 涼太の手をひいて、校内へ入る。ひんやりとしたクーラーがきいている。

「麻紀子センセ、まーきーこー先生!」
大きな声で涼太が呼ぶが、狭い校内を一周しても先生の姿は見つからなかった。

「蛍さん!」
その時、カクガリが中庭から大声で私を呼んだ。見ると、手先をヒラヒラと上下に振っている。こっちに来い、と言っているようだ。

「どうしたの?」
涼太を残し、駆けつけると、カクガリは、
「あの太ったおばさんたちが話してたんですが」
と年配の先生たちを指差した。

「おばさん、なんて言わないの」

「はぁ、すみません。あの、麻紀子先生は休みらしいですよ」

「そうなの?」



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