いつか、眠りにつく日
 やっぱり戻ってきてくれたんだ!

 階段の踊り場まで来ると、もう一度、
「クロ~」
と言ながら階段を駆け降りる。

___よかった

 そう思ってリビングへ続く廊下に出た私の笑顔は、すぐに凍りついた。

 そこにいるのは、スーツを着た中年と若い夫婦だった。スーツの男が汗をハンカチで拭きながら若夫婦に話しかけている。

「どうですか、この日差し!このようにバッチリ朝日を浴びれて最高の物件ですよ」
抑揚をつけオーバージェスチャーで説明をしている。笑顔は営業マン特有の作り笑い。

「・・・なんだ」

 モデルルームを見に来たのか・・・。



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