いつか、眠りにつく日
「はぁ?」
また『アホか』といわれるかと思ったが、意外にも男は首をひねると、
「勝手にしろ」
と言って歩き出した。

「ねぇ、クロ」

「・・・なんだ?」

「気に入ってるんじゃん」

「アホか」


 近所のおばさんが立ち話をしている。誰一人、私の存在には気づいていないのか目を合わさない。

 油断していると、追いかけっこをしている子供たちが私をすり抜けてゆく。

「幽霊ってさ、宙を飛んでいるイメージなんだけどさ。意外にも移動は徒歩なわけ?」

「だから、幽霊っていうのはお前ら人間が勝手に作り出したもんだ。実際はそんなの万能なわけじゃない」

「つまんないの」

 

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