いつか、眠りにつく日
 少し微笑んだ蓮の顔が近づき、キスをされる。

 最初で最後のキスは、あっけないほど短かかった。

「蛍。ありがとう」

 呆然とする私にそう言うと、蓮は突然私から離れた。

「蓮?」

「会いに来てくれてありがとう。本当にうれしかった」

 そう言うやいなや、きびすを返して駆け出してゆく。

「待って!待ってよ!」
突然のことに何がなんだか分からず追いかける。

 校舎の角を曲がると、
「嘘。嘘でしょう?」
もう、そこには蓮の姿はなかった。

「やだよ。こんな別れ、いやだよ!」
声の限り叫ぶ。
 

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