いつか、眠りにつく日
「すまない」

 クロがそう言った時、私は笑っていた。

 これからまた生きられることの喜びを感じていたのだ。

「すまない、蛍」
もう一度、クロが言う。

「クロ、大丈夫だよ。だって、むしろうれしいんだもん。これからやりたいことがたくさんあるんだよ。本当に感謝してるよ」

「違うんだ。蛍、おかしいと思わないか?」

「え?」

「お前の今の状態は、病院で意識不明だと言ったよな?」

「・・・うん」

「つまり、現実世界のやつらにとってはお前はまだ生きていることになる」

___なにかがおかしい

 胸底から嫌な感覚がわきあがってくる。

 たとえるなら、青空に小さな黒いシミがあるような。

 その黒い点がどんどん広がっている感覚。


 


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