いつか、眠りにつく日
「はい。それでひとり目がここにいるって言われて」

「ちょっと待った」
右手を前に出し、
「相手の名前まで言ったのか、その案内人は」

「はい」

「・・・妙だな」
煙を大きく吐き出しながらつぶやく。
「昔は、未練がひとつって決まってたみたいじゃがな。3つに増えた代わりに名前まで教えるようになったのかもな。人間はどんどん貪欲になっているものじゃな」

「はあ・・・」
自分だって人間のくせに、そんなこと私に言われてもよく分からない。適当にあいずちをうつ。

「しかし、死ぬ前にこうやってもう一度幽霊を見ることができるとはな。長生きはするもんじゃ」
ガハハとシワを深くして笑う。






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