いつか、眠りにつく日
「クロ、いないの?」
ふらふらと廊下や台所を探すが、姿は見えない。

 ふと、玄関が目に入る。なんだかこんな気持ちのままで、未練解消を続ける気分にはなれない。時間がないのは分かっているけれど、相手に会うのがこわい。

 台所に置いてある小さなホワイトボードに『ちょっと散歩に行ってきます』と書くと私は外に出た。


 天気は今日も快晴。それがまた悲しい。

 足は自然にバス停へ向かう。夏休みの子供たちが元気に走りまわっている。自分の姿が相手には見えないことにはもう慣れた。

 ちょうどやってきたバスに乗り込む。冷房が強く、寒い。
 精神状態が悪いのだろう、息が白くなる。

 2つほどバス停を過ぎると、見慣れた風景が流れ出す。

 降りた場所、そこは通っていた高校の最寄りの停留所だった。



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