ビロードの口づけ
 クルミは窓を少し開けてジンに確かめた。


「あの、毎晩ここに?」
「あぁ。寝室に入り込まれたんだろう?」


 やはり思った通りだった。


「あの、私……」


 ひとりになりたくてジンを追い払うように寝室に逃げ込んでいたのが、なんとなく悪いような気がした。
 その分ジンは外に立っている時間が長くなるのだ。

 謝るべきか考えあぐねて口ごもっていると、ジンは察したようにクスリと笑った。


「別にあんたの夜更かしなんかかわいいもんだ。オレがいる目の前で男を連れ込むご令嬢もいるくらいだしな」
「え……」

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