ビロードの口づけ
 それを意識した事はない。
 だから他人と比べた事もない。
 本当なのだろうかとちょっと気になる。

 うしろで髪を梳かしている侍女を鏡越しにこっそり盗み見た。

 侍女のモモカはクルミと同い年だ。
 いつも身支度を手伝ってくれたり噂話を聞かせてくれたりする。

 だが自分の影になってよく見えない。
 うっかり身を乗り出して、後ろから髪を引っ張られてしまった。


「あ、クルミ様」


 モモカが慌てて手を離したため、まとめようとしていた髪がバラバラと肩に落ちた。


「ごめんなさい」


 謝りながら振り向いたクルミは、ちゃっかりモモカの胸を見る。
 確かにモモカよりは大きいかもしれない。

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