甘恋-アマゴイ-
アマ・ゴイ
雲の切れ間から月が見える公園で
雨にしなだれた
二つの花が
寄り添うような散歩をした。
土と草木の匂いに、隣を歩く彼の匂いが混じるよ。
愛しくて、胸が苦しくなる匂い。
並ぶ私たち、
50センチには少し多いけど。
彼の好きな人は、
私じゃないもの。
いけないよ…
だめだよ。
彼は友達。
だけど、
好きだよ。
告白しようかなんて、
私に相談しないで。
苦しいよ。
知ってるんだよ
彼の好きなコって私の親友。
そのコから
実は、彼のこと好きだって。
相談されちゃったんだもん。
聞きたくなかったよ。
うつむいて、薄い自分の影を踏んでく。
ずっとずっと。
彼の影も並んでるけど、
影ですら重なれない。
「どうしたの?」
< 1 / 3 >