甘恋-アマゴイ-
アマ・ゴイ

雲の切れ間から月が見える公園で
雨にしなだれた
二つの花が
寄り添うような散歩をした。

土と草木の匂いに、隣を歩く彼の匂いが混じるよ。
愛しくて、胸が苦しくなる匂い。

並ぶ私たち、
50センチには少し多いけど。

彼の好きな人は、
私じゃないもの。

いけないよ…
だめだよ。

彼は友達。

だけど、
好きだよ。

告白しようかなんて、
私に相談しないで。
苦しいよ。

知ってるんだよ
彼の好きなコって私の親友。
そのコから
実は、彼のこと好きだって。
相談されちゃったんだもん。
聞きたくなかったよ。

うつむいて、薄い自分の影を踏んでく。
ずっとずっと。
彼の影も並んでるけど、
影ですら重なれない。

「どうしたの?」
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