恋愛遊戯【完】




……でもそうだよね。ナツメは顔だけはいいからそれなりにモテるし。あたしもそれは分かってたけど。


もしあいつに彼女なんかできたら、今と同じ風には過ごせなくなるんだろうな。


――ていうかむしろ、今もあたしに話さないだけで、彼女がいる可能性もあるよね。



それを少し寂しい、なんて思ってる自分に気付いて動揺する。


理由もなく、意味のわからない焦燥感に駆られている感じがした。



――そうか。あたしはナツメと気兼ねなく話せている今を、それなりに楽しいと思っていたんだ。



きゃっきゃと楽しそうに会話する二人も、顧問から集合がかかると慌てて話を止めて輪に加わっていった。



やがて少しして、ありがとうございました! と運動部独特の掛け声で本日の部活は締められたようだ。


だけど1年生はまだ少し片付けが残っているらしく、体育館ステージ横の準備室にナツメは入っていく。



……玄関で待ってよう、と、あたしも体育館を後にした。



< 19 / 26 >

この作品をシェア

pagetop