30 thirty~恋する大人のものがたり
桜井が所持していた鞄をふんだくり

中をあさる。



携帯電話

携帯電話




あったあった



  

自宅

自宅

自宅



「おい、桜井自宅が出てこないぞ、登録していないのか?」



桜井は一瞬戸惑った表情を見せた後

「いいよ、うちにかけても。

 母さん出ると思うから

 かして       携帯・・・」





意外と素直だな・・・・





緊張したのは俺のほうさ

いったいなんて言えばいいんだ。



考えるまもなく、電話口に相手が出ていた。



「はい、もしもし」




「あ、桜井さくらさんのお母様ですか?

 わたくしは6年前、小学校で担任させていただいておりました

 山田と申しますが・・・」



「あっ

 山田先生ご無沙汰ですー母ですー覚えてますか?

 娘行ってますか?

 ホントよろしくお願いしますねー。

 今日は学校はお休みさせています、今日はそちらでご厄介になりますね~~」







嘘だろ 母親!




あいた口のふさがらなくなった俺に

桜井が耳元でささやいた







「そういうことだから

 ね、せんせ」







「いいえ

 今日はこのまま

 送り返しますので!」




携帯電話がカスタネット化したかのように

俺はたたき切ってそのまま桜井の手を引いて

車に乗せた。







子供と交わした約束を

親が尊重してハイよろしくね

なんて

最近の親はハイカラだね、

まったくだ!!!
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