海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
ポーンと、桜土君がドの鍵盤を押す。


メロディーなんかじゃ無く、たった1つの“音”なのに、心に風が吹き抜けた気がした。


「さてと桐生、お前この歌歌える?」


差し出されたのは、ミシェルのデビュー曲・“蝶と水”。


私が大好きな歌で、アイや小梅とカラオケ行ったら必ず歌うヤツだ。


「うん、大丈夫」


「良かった!勝手に選んだんだけど、この歌オレの中で桐生にピッタリなんだよな」


桜土君はよしっとピアノに向かい、両手を置く。


ずっと殆ど繋がりが無かった私達を繋ぐものが


今ここに、出来た瞬間だった。
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