オレンジ・ドロップ

 軽い足取りで学校へ着いた

  一番乗り~っと

 さて誰も来ないうちに下駄箱に……

 ダメだ

 ここじゃ目立ちすぎる
  
 じゃぁ……

  机ん中だ!!


 教室までダッシュ!!

 廊下側の後ろから2番目っと

  汚ない机ん中~

 教科書なんて見た事ないのでは? そう思うくらい乱雑に教科書たちが眠っている

  まっいいや

  ここに入れとこ

  待てよ?

 こんな手前で、もし落っこちたりしたら大変

 綺麗なラッピングの上に目立たぬよう、黒いビニールに包み机の奥に突っ込む。


  気がつかないかなぁ?
  でもいいや

 何事もなかった様に自分の席に戻る


 少しずつクラスの人たちも登校してくる

 そして

 ゆっくりめに彼も登校して来た

 何度か様子をこっそり伺う

 やっぱり机の中を見る様子はない……みたいね

  どうやって授業受けてんだろ?


 気がついて欲しい

 だけど

 気がつかないで欲しい

 心が矛盾してる

 机の中のものを出来るなら取り除きたいよ

 チョコレートを手放した途端 

 魔法が消えたかのよう

 急に恥ずかしさが込み上がって来た




< 156 / 378 >

この作品をシェア

pagetop