オレンジ・ドロップ

 ―― 3月20日

 胸に迷いを抱いたまま卒業式当日を迎えた

 式の前教室

 席に座るなり恵ちやんの一声


 「サヤ、決めた?」

 恵ちゃん


 「うん、行かない。そう決めた」

 言葉と反して迷いはある

 それを顔に出さないようにする私


 「そっか」

 彼女はそれ以上何も言わなかった

 いつも私の気持ちを尊重してくれる


 式が始まるので教室を出る

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  卒業式

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 式が終わって教室に戻る

 みんなは、ぞれぞれの想いを抱き涙している

 私は一粒の涙も流れない

 悲しみも無ければ晴れやかな気分もない

 こんなの初めてだ

 とりあえず空元気に振舞う私


 クラスの人達に最後に色紙に一言書いてもらおうと思ってクラスの中を駆け回る

 女子は全員渡せた

 男子は……同じ班にいる人で精一杯 


 一番書いてほしい人には

  ……渡せないよ

  接点ないもん




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