オレンジ・ドロップ

合唱部


 ―― 6月半ば 

 合唱部の練習を終え帰り支度を整えている


 「カッパちゃん、誕生日いつ?」

 ミカオ先輩


 彼女の本名は“岸村 美香子”

 男勝りの性格をしているので皆がこう呼んでいる

 そして、カッパちゃんとは私の事

 彼女だけにそう呼ばれることを許した私 

 前に、オカッパ頭が風でグシャグシャになったのをみて「カッパみたいね」

 といったのが事の始まり


 「あっ、今日です」


 「えっ!? 今日? 何で言ってくんなかったのよ~?」
 

 「今まで聞かれなかったし……」


 「ま、いいわ。おめでとう♪」


 「ありがとうございます」


 「じゃ、お祝いしなくちゃね?」


 「そんな、いいですよ。今の言葉だけで十分です」


 「いいから、いいから♪ 付いて来な☆」


 言われるがままにカバンを持つと、後ろから声が飛んできた。


 「いいなぁ、先輩私たちも連れて行ってくださいよ」


 「何言っているの? 今日はカッパちゃんのためのお祝いなんだから、また今度ね♪」


 私とミカオ先輩は、みんなの野次を背に音楽室を後にした




< 241 / 378 >

この作品をシェア

pagetop