オレンジ・ドロップ

 机は班で向き合ったまま

 全員が食事の準備を終えたところで

 
「「いただきまーす」」
 
 挨拶を終え、一番にぎやかな時間になった。

 この時、微かにだけど耳に入ってきた

 
「サヤ」

 声の主は目の前にいる荻野くん

 ハイッ!!
 
 やっぱり声にならない

 周りの人達には全然耳に入ってないようで、雑談が止まらない。

「聞こえなかったかなぁ?」
 
 聞こえました。 
 
 気づかないフリして恵ちゃんたちと話を続ける

 
「あれ?荻野ー、今なんか言った?」

 二回目の荻野くんの言葉に反応したのは恵ちゃん
 

「や、何も」

 彼は、笑顔で答える。

 ごめんなさい!

 何事もなかったかのように再びガヤガヤした空気に戻る。





< 30 / 378 >

この作品をシェア

pagetop