オレンジ・ドロップ
机は班で向き合ったまま
全員が食事の準備を終えたところで
「「いただきまーす」」
挨拶を終え、一番にぎやかな時間になった。
この時、微かにだけど耳に入ってきた
「サヤ」
声の主は目の前にいる荻野くん
ハイッ!!
やっぱり声にならない
周りの人達には全然耳に入ってないようで、雑談が止まらない。
「聞こえなかったかなぁ?」
聞こえました。
気づかないフリして恵ちゃんたちと話を続ける
「あれ?荻野ー、今なんか言った?」
二回目の荻野くんの言葉に反応したのは恵ちゃん
「や、何も」
彼は、笑顔で答える。
ごめんなさい!
何事もなかったかのように再びガヤガヤした空気に戻る。