片想いだったね
「あら~。聞いちゃうソレ~。」
「聞いちゃう聞いちゃう。」
「貰ってませんよ~。」
「彼女じゃないの?」
「彼女いね~し~。」
「……好きな人?」
「知らな~い。」
翼の自転車を漕ぐスピードは変わらない。
私の心臓の早さだけが、さっきよりスピードアップしたのはバレないかな。
翼の好きな人………、
景子じゃないのは確かだし。
「気になる~?」
「えっ!?」
気になるというか、ドキドキするというか、てか、まさかさ。
私だったりして、とか…。
あぁもぉ!落ち着け自分っ!!!
「べべべべ別にっ!!!?」
「超ウケる~。」
翼の背中をパシッと叩く。動揺してるのバレないように、自分だったらって自惚れてるのバレないように。
「俺の片想い~。」
「……え?」
見渡すと、薄暗かった空は
夜に変わっていた。
星がよく見えた。