記憶 ―砂漠の花―


それを知っても尚、自分を過信するあまり逆境に燃えるマルクは、あの手この手を企てる。

それでも、
カルラ王女は揺るがない。


日に日にエスカレートする彼の行動は、彼の企みを浮き彫りにしていった。

身から出た錆び、
自分自身の破滅を招く。


彼は王家への出入りを禁じられ、国をも出る結果となった。




「……という、父上から聞いた教訓話。『追放されたマルク』、おしまい。」

叔父様が、教訓話としてアランに話した気持ちが手に取るように分かる。

『自分に酔うのもいい加減にしときなさい』ってところね。



「なるほど…。それから、マルクはサザエルに…」

キースが記憶の糸を繋げる。


「バッカな奴がいたんだな~、くらいにしか思ってなかったんだけど。事実は深刻だったようだね…?」

父上に報告しなきゃ、とアランは付け加えた。


深刻な話が続いていたはずなのだが、なんせ軽いアランが語り手だったせいか、リオンさんは急に声を上げて笑い始めた。

寝静まった廃墟に、大きな笑い声だけが響く。

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