記憶 ―砂漠の花―

そこには、給事の格好をした年老いたお婆さんが立っていた。

髪は白く、判断は出来ないものの、瞳は緑色。
ウィッチではない。


それは他の給事たちも同様で、城下町に暮らすウィッチ以外の少数の人間とは、認められた城に遣える者なのだろうと伺えた。


「リザ!無事だったか!!」

先生が彼女に声を掛けた。


「リザ…、お客様の前ですよ。騒々しい。控えなさい。」

マルクがピシャリと命令する。


それを見て、他の給事たちもその場は動きはしないものの、

「リザ様!?」

と小声でざわざわと騒ぎ出した。

リザさんは、給事の中で立場が強い存在なのだろう。


「私は…長年、家族の命とこの国の秘密を、天秤にかけ生きてきましたよ…。リフィル様のお世話をしてきた私が言うのですから、信じる者も多いでしょう!」

それを聞いた給事たちがお互いに顔を合わせた。


「ほぅ…リザまでそちら側に付きますか?」

「家族に危害は加えられませんよ?先程リオン様の仲間の方に保護していただきました。」

リザさんがマルクを睨む。
マルクの顔色が少し濁った。

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