記憶 ―砂漠の花―
でも、
関係ない…
そんなの知らない…
だって、
アズがいない…
視界には、
何かを叫ぶ母上にアラン…
私を目を見開き見ているキース、先生…
そして…
――マルク!!
憎い、憎い、ニクイ…
貴方ダケハ、
苦シメテ殺シテアゲル…
私から、
アズを奪ったから。
私の視界は、ゆっくりとマルクに近づいて行った。
彼から、
淡い色の光が飛んでくる。
攻撃…?
紅い光は、全てを弾く。
意味がない…
無駄だよ。
私は…、
目覚メテシマッタカラ――
マルクを宙に浮かせた。
ジタバタともがきながら、
何かを叫ぶ。
何…?
『やめてくれ』と、
…そう言っているの?
ふふふ…
可笑しい…
どの口が、そんな事を…
――オ前ハ、
止メナカッタジャナイカッ!!
紅い光を纏った私の右手が、
マルクの喉を掴んだ。
マルクの苦痛の表情が、
紅く歪む。
苦しいの…?
アズも苦しかったの。
痛かったの…
苦シメバイイ…
モット…
モット
怯えた瞳で、
マルクは片手に持つ心臓を、
私に差し出した。