記憶 ―砂漠の花―


「……私がウィッチでなければ…、結婚を認めてくれますか…?」


はははは…

祖父が声を高々に笑った。
馬鹿げている…と。


「あぁ…、シオン国王女、カルラ姫!隣国の王家の娘よ!出来るものならな…!」


「――では、この力、捨てます。」


母上は、強く言い切った。


「………!?」

祖父が息を飲んだ。


「カルラ!何を…!!」

「良いのです!!愛する人と離れなければならない『この力』に、何の未練もありません!!」


はぁ…はぁ…

高ぶる母上の鼓動。


「今のこの国に、魔力など…ない方がいい…。」


「カルラ……」


「約束さえしていただければ、すぐにでも!私の愛に迷いはありません…!」


母上の覚悟は本物だった。
祖父は、納得はしていないものの、母上の熱意に押されたのか、顔をしかめて言った。


「……では、この後、サザエルの使者を迎える事になっている。こんな最中とはいえ、表向きは歓迎せねばならん。それが済んでから、今夜にでも私の目の前で行ってもらう…。この目で見ぬ限り信用出来んからな!」

「はい…、おうせのまま…」


そして…

サザエルの使者、

…キースが、現れた。

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