記憶 ―砂漠の花―
母上が…、
なぜ…、
マルクに捕まっていたのか…
なぜ、マルクにに執着されていたのか…
私の理解を強めた。
『紅い力』を持っていたから…
なぜ、マルクがシオンでなく、ラルファを侵略しようとしたのか。
なぜ、キースに父上の暗殺を命じたのか…
『紅い力』を渡したくなかったから――
母上が自らを『永久封印』しようとしている事など、
夢にも思わずに……
キースが、
その光る剣を父上に向けた。
「――やめてぇぇっ!!」
母上が、刺された。
目の前の光景は、
キースに聞いていた通りだった。
辺りは騒然となる。
呆然と床に座り込むキースが、
祖父の指揮の元で城の兵士に捕まる。
泣き叫ぶ、父上。
『かろうじて命を取り止めた』
キースの話では、そうだった。
でも…
私の目の前の母上は、
命をおとした――
『ウィッチは二つの心臓を持っている』
『一つが機能停止した時、もう一つが動き出す』
キースが知るはずもない。
目の前に倒れる母上は『封印』し、身分を偽って皆の前にいたのだから…
――二つ目の心臓が、
動き出した…