記憶 ―砂漠の花―

「……俺が…説明するよ…。」

アランが、キースとアズを交互に見た。


「私は、姉上の元に…。呪縛を解くとしよう。」

先生が、部屋を出ようと向けた哀しげな背中に、アズは話し掛けた。


「…先生…、俺のこれが、『紅い魔力』なんだとしたら…、これを『強制封印』して行って下さい。」

先生の背中が、ビクっと止まる。


「紅い力は、自我をも崩壊させる強大な力だと、先日言っていましたね…。」

「…あぁ…」


「制御する術も知らない俺が、この後繰り広げられるだろう話に、……きっと、耐えられない…。」


先生はそのアズの言葉を胸に、それは辛そうに『強制封印』を施した。


『肯定』を意味するその行動に…、アズは唇を噛んだ。


魔力の見えないキースは、ただ呆然と真実を知る時を待っていた。


私は…、
もう一度、真実に直面しなければならない…


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