記憶 ―砂漠の花―
この…
後ろに感じる温もりは、アズ…?
残念ね…
顔が見えないの。
アズの腕が、
私を強く抱き締める。
アズ、アズ…、アズ…
私の命は、貴方の為にあった。
『…アラ…ン?…私と…アズの回線を…』
繋いで。
繋げて…?
『……っ!!…わかっ…た…』
アランは、私が尽きる事を悟ったのだろう。
静かに、
自分と私との回線を切った。
ごめんね。
最期は、
ちゃんと伝えたいの。
私の本心からの言葉を…
『…ア…イリ…?』
アズが私を呼ぶ。
『…アズ…最期に…貴方の役に立てて…良かった。』
『…アイリ…アイリ…!』
そう…ただ名前を繰り返す。
つい先日の私みたいね?
立場が、逆転だね…
『私…貴方を愛していた。心から…』
「……ぐっ…」
はぁはぁ…と、
私の口から息が漏れる。
抱き締めるアズの腕に力が入る。
『…だから…罰が下っ…たのね、愚かな私に…。』
『アイリ…、違う…違う…!』
違わないの。
でも、
だけど…
愚かな私は、
『…愚かな私は…それでも願ってしまう…。どこかで…、この想いを抱いたまま…また出逢い…たい…と…』