記憶 ―砂漠の花―


「アラン、違うって!協力してもらえないかなって言いたかったのに~!もう!」

「アランなんて連れてくんじゃなかった!くそっ!」

アズもそう言い、腰の剣を抜いた。

出来る事なら、私たちは戦いたくなかったのに…。



「両者 止まれっ!!」


キースの良く通る大きな声が、周りのコンクリートの壁に響いた。


「……!!」

その場の全員の動きが止まる。

キースに目をやると、先程まで自分に向けられていた短剣を逆に返し、反乱軍リーダー側の首元に刃を当てていた。


「殺し合いはしたくない!反乱軍相手となれば尚更だ。我々の話を聞き、協力してもらいたい。」

「さすが、キース!」


明らかに私とアズは白い目でアランを見ていた。
今は身分を隠している為口には出せないが、彼がシオン次期国王で大丈夫なのかと疑った。


「…今…、キースと言ったか。先程から言っているな。」

反乱軍リーダーが、キースに捕らわれたまま、ぽつりと呟く。


「よい、皆。剣をしまえ!どうやら敵ではないらしい。」

彼の言葉を合図に、他の反乱軍たちがそれぞれに剣をおさめる。

それを確認したキースも彼から短剣を離した。

< 91 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop