霞を散らす風のごとく
今度こそ冬夜を切り裂こうと、祥貴が霊減刀を振り下ろす。
確実に外すはずはない距離だった。
しかし、祥貴の霊減刀は空を裂いていた。
「何っ…!」
「……動くな」
目の間に居たはずの冬夜は何故か祥貴の後ろに居た。
祥貴の首にはとても小さなナイフが押し当てられていて、少しでも動けば皮膚を裂くだろう。
「…少しは話を聞け。私たちはおまえに危害を加えるつもりはない」
「この状況でどうやって信じろって?」
敵意むき出しで噛み付いてくる祥貴に冬夜はわざと聞こえるようにため息を吐いた。