霞を散らす風のごとく
叫び出しそうになるのを必死に堪えながら、走ってその道を抜ける。
一心不乱に走っていると陽の光と共に道の終わりが見えてきた。
光が見えたことに安心して気を抜いた瞬間。
見えていたはずの光が見えなくなった。
「え?」
目の前には知らない人。
瞬《またた》きをした一瞬。
その一瞬のうちにその男は目の前に現れた。
荒い息遣いは先程から聞こえていたものと同じ。
思わず足を止めた。
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