デュッセルドルフの針金師たち前編

バイエルンからウィーンへ

ミュンヘンは大きな町だ。ホフブロイハウスでは
朝から皆ビールを飲んでいる。
駅ではコーラよりビールのほうが安いのだ。

生水は硬泉で飲めないから喫茶店で日本のように
勝手に水が出てくるというような事はない。

もし初めてのドイツ人だったら、
私は水を注文していないとはっきりと断るだろう。

北のニーダーザクセンよりは南のバイエルンのほうが
小太りしたチロル風の人が多く人なつこい。

バイエルン方言でグリュースゴッド(まいど)
ビーダーシャウエン(さいなら)と言うととても喜ぶ。

ここから南、オーストリアとの国境付近一帯の山岳地帯を
チロル地方という。ザルツブルグ、インスブルグの町々
サウンドオブミュージックの世界だ。衣装も独特だ。

そういえばデュッセルドルフの東京銀行で、女子行員が
チロルの伝統衣装を着て仕事をしていた。
当時の日本ではとても考えられないと思う。

ミュンヘンのユースに泊まりつつおじさんが、友人が
ガルミッシュにいるということで、車を貸してあげたら、

帰りにバスに追突して、これが急遽裁判所に出廷ということになって
ユースにポリツァイの緑と白地のバンが到着、二人は連行された。

革ジャンに角ばったポリスの帽子。ドイツ人はほんとに
この軍服姿がよく似合う。必要もないのに
サイレンを鳴らしてひた走り、裁判所に着く。

小法廷で日本領事館の人を交えて裁判が始まった。
すぐに判決が下りた。おじさんに800マルクの罰金。
おじさんはお金持ちだったので即金で払って二人は釈放された。
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