放課後の夕日
第1部 いつもの屋上
私は放課後の夕日が好きだ。

それは、ほんのりと光るやさしい明りが
落ち着くからだろうか。

それとも、昼と夜の間の
ほんの短い時間しか顔を出さない夕日を

どことなくさみしく感じるからだろうか・・・・・。





「来週の活動は老人ホームでお年寄りとの交流を深めに行きます。
 特に必要なものはないので遅れないようにすること。」

 部室に部員の返事が響き渡るとその日の活動は終了。

「またか・・・。」

 私は誰にも聞こえないようにそう呟いた。

つい先週子供たちとの交流を深めるために保育所を訪問したばかりだ。

毎日毎日同じことの繰り返し・・・。つまらない。

私は保育所や老人ホームに行くためにこの部活に入ったんじゃない。
もっと・・・もっと自分を試したかった。


 私立流星高等学校一年生“沢田光(さわたひかる)”合唱部に所属している。
・・・・が、毎日同じような日々にうんざりしていた。


 





放課後、私は必ず屋上に上り誰に聞かせるでもなく夕日に向かって歌う。

それが日常になりつつあった。

このままこの時間がずっと続けばいいのに・・・。

なんてことを思ってしまうときもある。

夕日を見ると落ち着く。嫌なことも何もかも忘れられて。


 この日もいつものように屋上で歌うつもりだった。

だけど、この日私は『変な人』に出会ってしまう。

その人が、毎日に飽き飽きしていた私の人生を変えようとしていた。

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