僕らはみんな、生きている。
 秀司と同じカラオケ店で働いているゆかりは、秀司が少し疲れているように見え、声をかけた。

「なんか、疲れてない? 大丈夫?」

 すると秀司は、

「実はさ、昨日盗聴器が無いか部屋中調べたら、いつの間にか深夜になっちゃって、なかなか寝られなかったんだよ。それで睡眠不足」

 言われたゆかりは、一瞬戸惑って黙っていたが、

「あ、そう」
 とだけ返事をした。
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