僕らはみんな、生きている。
 それは7月が始まったばかりの、ある日のことだった。

 携帯が鳴っている。見ると、秀司からの電話だった。

「もしもし」

「もしもし……」

 秀司の声が、いつもと違う。

「どうしたの?」

「しんどい。精神的にやばい」

 何かが違う。直感でそう思った。

「なにかに追われてるような気がしてしょうがないんだよ。
 なんかすごい怖くて」

 どう言ったらいいのかわからなくて、私は黙った。

「なんでもないよ。気のせいだよ。気にしないほうがいいって」
 
 そう言ったけど、秀司は最後まで「不安でしょうがない」と言い、電話を切った。

 電話を切ったあと、私まで不安になった。
 なにかあったのかな。
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