僕らはみんな、生きている。
 私はゆかりに秀司のことを相談した。

 ゆかりに電話をかけ、秀司の様子がおかしいことについて話すと、

「あーそういえば、なんか変なこと言ってたよ。
 “盗聴器がないか調べた”って」

「盗聴器?」

 思わず聞き返した。

「そう。ちょっとどうしようかと思ったよ。
 ねえ、病院に連れて行ったほうがいいんじゃないの?」

 病院。
 その言葉に少しどきっとした。

「寝れないとか言ってたしね。
 あんたの彼氏でしょ。癒してあげなさいよ」

「うん……」

 ゆかりに話して気持ちが少し軽くなった。

 でも、盗聴器、って……。

 胸の中で、ざわざわと不安が渦巻いていた。

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