僕らはみんな、生きている。
 本屋を出た。

 私は、秀司が好きだから、できることなら力になりたいと思っていた。

 けど、愛情とか優しさとかそういうものでは、そういうもの「だけ」では、どうにもならない。それで何もかも解決するわけじゃない。

 わかってしまった。

 自分にはできることがない。

 してあげられることがない。
 
 無力だ。

 その思った途端、頭のてっぺんから足の裏まで一瞬にして鉄の棒でつらぬかれたような感覚が襲った。

 ひざから崩れ落ちてしまいそうなほど、その事実に押しつぶされそうだった。
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