僕らはみんな、生きている。
 麻美が秀司と病院に行ってから、三日後のこと。

 秀司はバイトを休んだ。

 それから二回ほどバイトを休み、また出勤した。

 
 休みがちだった杉原さんがまた顔を出すようになり、今までと同じ、何も変わらない空気に戻りつつあった。

 でも、杉原さんは変わった……ような気がする。

 あまり話さなくなった。仕事中だからっていうのもあるけど、表情が硬くなって、疲れているようにも見えた。
 
 なんだか気になるな。
 麻美、大丈夫なの?

 
 ゆかりが気にかけて秀司を見ていると、その視線を避けるように秀司はトイレの個室に入った。

 手には500ミリリットルの水の入ったペットボトルと、白い錠剤を持っている。

 錠剤を口に入れると、ペットボトルの水を飲んだ。

 秀司はバイト先の周囲の人に気づかれないよう気をつけながら、統合失調症の薬を飲んでいた。
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