チョコレートトラップ
後藤先生の言葉に

クラスメイト全員が

私の方を振り向く。


額にうっすら

汗が滲んでくるのを感じる。


とてつもなく嫌な予感がして、

心臓がバクバクと悲鳴をあげる。


「は、はい……」


カラカラに渇ききった口で

なんとも情けない声を出す。


そんな私のことなんて

まるで気にする様子もなく、

後藤先生はふわりとした笑顔を

そのままに言葉を続けた。


「磯貝さん、

 4組の高橋爽太くんと

 付き合っているみたいね」


―――やっぱり!


だから早く授業を

始めて欲しかったのに、

どうしてわざわざ

みんなの集まっているこの場で

そんな事を言ってしまうのだろう。


全く、

“天然のおっとり”度合いにも、

限界っていうものがあるんだから。


後藤先生の声を合図に

クラスメイトたちが

私を冷やかすような声をあげる。






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