チョコレートトラップ
……やっぱり、こんな状況、

今の私には酷だったんだ。


そう思いながらも、

いうことを訊かない身体が、

床へと吸い込まれるようにして

倒れていく。


“バタン!”


と、強い衝撃を体中で感じる、

はずだった。


しかし、その衝撃は

ふわりとした柔らかいものへと

すり替わっているのに気付く。


……あ、れ?


不思議に思って、

ぼんやりした頭のまま

うっすら目を開けると、

優しい笑みをみせた

高橋くんの顔がぼんやりと映った。


「……!」


予想もしていなかった展開に、

私の鼓動がバクバクと

音を立てて早まっていく。


それと同時に、

女の子たちの奇声ともとれる

叫び声が体育館中にこだました。





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