チョコレートトラップ
誰にもばれないように

素早く入れる、

たったそれだけのこと。


これだけのことでも、

私の心臓は壊れそうなくらい

バクバクしてたんだから。


少しの間の後、

携帯電話がまた震えた。



『そうだよね。

 それだけでも

 芹菜にとってはすっごく

 頑張ったんだもんね!

 高橋くんに

 想いが伝わるといいね』



凛の言葉に

胸がじんわり温かくなる。


しっかり者の凛にとって

チョコを渡すことなんて

容易いかもしれないけれど、

うじうじしてしまう

私の心情をちゃんと

受け止めてくれたことが嬉しい。



『ありがと、凛』



今日の放課後、

高橋くんがチョコに

気付いてくれれば……。


想いがたくさん詰まった

甘いチョコに。





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