チョコレートトラップ
私はふうっと息を軽く吐くと、

凛を見つめて口を開いた。


「で、わざわざどうしたの?

 凛が呼び止めるなんて

 珍しいじゃん」


私の言葉に凛は

辺りをキョロキョロと見回すと、

人差し指を口に軽く当てた。


「静かに。芹菜は朝、

 高橋くんの下駄箱に

 チョコ入れたんだよね?」


凛の問いかけにこくんと頷く。


凛もまた小さく頷くと

言葉を続けた。


「だったらもうしばらく

 ココに残ろうよ。

 みんなが大体帰ったところで、

 高橋くんの下駄箱を

 チェックするの。

 ちゃんと芹菜が入れた

 チョコを持って帰ったかどうか」


勇気を振り絞って

下駄箱に入れたチョコ。


高橋くんが靴を履き替える時に

気付いて持ち帰ってくれてるか、

ちゃんと確かめないと

私の心が落ち着かない。


私は凛を真っ直ぐに

見つめてしっかりと

大きく頷いた。




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