チョコレートトラップ
それを合図に、

凛と私は流れに逆らって

生徒をぬうように駆け抜ける。


いつまでも廊下で

モジモジしているのは、

いかにも『渡すキッカケ』を

伺ってるみたいで

すごく恥ずかしい。


それを分かっている凛は

ある場所を目指して

突き進んでいく。


私も凛に置いて行かれないように

懸命に後を追った。


ホームルーム棟の最上階。


目的の場所の前に立つと

凛は振り向いてにっこり笑った。


「ここだったら、

 時間潰すのに最適でしょ?」


「うん」


5階のスペースを

全て使った大きな図書室。


ここならいくらいたって

誰も何も言わないし、

それに窓際の読書スペースに座れば

昇降口から校門まで見渡せる。


読書するフリをしながら、

生徒がどれくらい帰ったかどうか

チェックできちゃう。


早速、私と凛は

図書室へ足を踏み入れる。






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