チョコレートトラップ
凛の言う通り、

3年生がある程度

いなくなってからの方が

いいに決まってる。


変に人が残っていると、

もし高橋くんの下駄箱を

開けた瞬間を

見られてしまった時、

どうにも言い訳なんて

出来なくなっちゃうから。


でも、やっぱり……。



『15分、長いよー!』



心の叫びをメモに

ぶつけるように書いて

隣の机にポンと置く。


たった15分かもしれないけど、

その数分がとてつもなく

長く感じてしまう。


目の前に広げたままの小説を

読む気なんて、今の私には

さらさらない。


その時、

さっき渡したばかりのメモが

隣からすっと差し出された。


私は凛のコロンとした

可愛い文字を

食い入るように見始める。






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